CNS遺伝子治療開発及び第Ⅰ/Ⅱ相臨床研究準備開始のお知らせ

当社は、平成26年11月1日付けで、国立大学法人東京大学医科学研究所(以下、「医科研)との間で、CNS(Central Nervous System:中枢神経系)遺伝子治療開発(パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病を含む)及び第Ⅰ/Ⅱ相臨床研究に関する共同研究契約を締結しました。

当社は医科研と共同でCNS遺伝子治療開発(パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病を含む)及び第Ⅰ/Ⅱ相臨床研究準備を開始することとし、平成26年11月1日付けで、医科研との共同研究契約を締結いたしました。また当社の取締役である村松慎一(学校法人自治医科大学・特命教授)が、同日付で医科研特任教授に就任いたします。
本臨床研究は、CNS領域の難病である①パーキンソン病、②筋萎縮性側索硬化症(以下「ALSという。)、③アルツハイマー病を対象疾患として、医科研附属病院において臨床研究を実施する計画です。これらの疾病に対し、それぞれアデノ随伴ウイルス(以下、「AAV」)を利用して、治療のための目的遺伝子を導入し、その安全性と有効性を確認するものです。欧米においてはAAVを使用する臨床研究が始まっており、今後AAVが遺伝子導入の主要な方法になることが想定されます。その中で、当社と医科研の研究開発領域が、AAVを使用したCNS領域の遺伝子治療開発という点で合致し、本件共同研究契約の締結に至りました。
当社の遺伝子治療は、神経細胞選択的に安全かつ効率的に遺伝子導入を行うことが可能な、特殊なAAVの技術(特許出願中の学校法人自治医科大学との間で遺伝子研究所が特許使用契約済み)を基盤としています。特に、ALSやアルツハイマー病等の神経性疾患の遺伝子治療では、脳や脊髄から可能な限り多くの神経細胞に遺伝子を導入することが望まれており、この技術の潜在的優位性が治療の効果に影響を与えます。
しかしながら、この技術優位性を確実なものにするためには、効率の良い大量生産方法を確立して、知的財産として登録する必要があります。現状の治療用AAVの生産コストは高額ですが、新しい生産方法(バキュロ法:大きなタンク内で微生物に目的遺伝子を組み込んだAAVを大量に生産させる方法で、インフルエンザワクチン等を大量生産する最新技術)によれば、その生産コストを数百分の1とすることが可能です。そのため、これらの生産方法開発を急ぐ必要があります。

当社は、この生産方法開発(外部に開発委託予定)を行いながら臨床研究の準備を進め、その安全性と有効性を医科研附属病院での臨床研究において確認してまいります。医科研付属病院には、TR (Translational Research)治験センターがあり、理想的な環境で臨床研究が実施できるほか、ベクターや遺伝子組換えウイルスを製造することのできる治療ベクター開発室が設置されています。そこでは遺伝子治療に必要なベクターの調製と細胞への導入を、GMP(Good Manufacturing Practice)基準で行うことも可能であり、将来的にそれら施設の使用に関しても協議を進めていく予定です。
今後は、本臨床研究並びにAAVの生産方法開発と並行して、治験及び先進医療制度の適用申請の準備を進め、本臨床研究の結果を確認した上で、遺伝子治療の早期実施に向けた活動を行っていく予定です。

 

■本共同研究の概要

研究実施主体   :国立大学法人東京大学 医科学研究所
共同研究者    :株式会社遺伝子治療研究所
研究題目     :CNS遺伝子治療開発(パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病を含む)及び第Ⅰ/Ⅱ相臨床研究
研究内容     :①パーキンソン病、②ALS、③アルツハイマー病
に対する、AAVによる遺伝子治療の臨床研究

1. 各対象疾患の臨床研究のプロトコル作成
2. 各導入目的遺伝子を組み込んだAAVの作成
3. 臨床研究に向けた各種申請手続き
4. 第Ⅰ/Ⅱ相臨床研究の実施
5. 解析、評価
研究期間     :平成26年11月1日~平成29年3月31日まで
被験者数(予定) :各対象疾患とも、6例程度